
札幌の民泊市場は、インバウンド回復と国内旅行需要を背景に拡大を続けています。一方、2026年度は宿泊税の開始、札幌市条例による営業制限、消防・管理体制への対応など、売上だけでなく法令と運営品質を両立させることがこれまで以上に重要です。
この記事では、札幌市と観光庁が公表している最新資料をもとに、2026年度の札幌の民泊事情、宿泊需要、外国人ゲストの構成、宿泊税、営業ルール、これから収益を伸ばすためのポイントを解説します。
※本記事は2026年8月7日時点の公表資料をもとに作成しています。2026年度は進行中のため、年度途中の数値を含みます。
札幌の民泊市場は2026年度も拡大傾向
札幌市が公表する住宅宿泊事業の宿泊実績を見ると、民泊の利用はここ数年で大きく増えています。
| 年度・期間 | 宿泊者数 | 延べ宿泊者数 | 1人当たり宿泊日数 |
|---|---|---|---|
| 2023年度 | 150,441人 | 408,968人泊 | 2.72泊 |
| 2024年度 | 218,126人 | 614,198人泊 | 2.82泊 |
| 2025年度 | 292,040人 | 846,093人泊 | 2.90泊 |
| 2026年4~5月 | 24,824人 | 72,828人泊 | 2.93泊 |
2025年度の延べ宿泊者数は84万6,093人泊で、2024年度の61万4,198人泊から約37.8%増加しました。2023年度と比べると約2.1倍です。2026年度も4~5月の2か月だけで7万2,828人泊となっており、平均滞在日数も2.93泊まで伸びています。
数字からは、単に予約件数が増えているだけでなく、連泊需要が強まっていることも読み取れます。清掃回数を抑えながら売上を作れる連泊は、札幌の民泊収益を安定させるうえで重要なポイントです。
外国人ゲストが過半数。多言語対応が標準に
2026年度4~5月の札幌市民泊の宿泊者構成は、日本44.9%、韓国11.4%、台湾9.6%、米国4.3%、香港4.0%、シンガポール3.6%などとなっています。日本を除く外国人宿泊者は合計で約55%を占めます。
札幌市の観光統計でも、2025年度上期の来札観光客数は約961万1千人で前年同期比3.1%増、外国人宿泊者数は約94万1千人で17.2%増でした。民泊運営では、英語・中国語・韓国語を中心とした案内、チェックイン手順、暖房やごみ分別、騒音ルールの多言語化が必須になりつつあります。
2026年4月から札幌市宿泊税がスタート
2026年4月1日宿泊分から、札幌市では宿泊税が開始されました。住宅宿泊事業法の届出民泊も対象です。北海道宿泊税と合わせた1人1泊あたりの金額は次のとおりです。
| 1人1泊の宿泊料金 | 札幌市 | 北海道 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 2万円未満 | 200円 | 100円 | 300円 |
| 2万円以上5万円未満 | 200円 | 200円 | 400円 |
| 5万円以上 | 500円 | 500円 | 1,000円 |
民泊事業者は原則として特別徴収義務者となり、宿泊者から税を預かって申告・納入します。OTAごとの宿泊税表示、予約済みゲストへの案内、免税対象の確認、帳簿管理まで運用フローを整える必要があります。2026年4月1日より前の予約でも、宿泊日が4月1日以降なら課税対象です。
札幌で民泊を始めるときの営業ルール
住宅宿泊事業は年間180日が上限
住宅宿泊事業法に基づく民泊は、4月1日から翌年3月31日までの1年間で最大180日が上限です。年間を通して営業したい場合は、物件や用途地域、建物の条件を確認したうえで、旅館業法の簡易宿所許可も検討対象になります。
札幌市条例による区域・曜日制限
家主不在型など一定の民泊では、札幌市条例による営業制限があります。小中学校等の出入口から100m以内では授業日、住居専用地域などでは原則として平日の営業が制限されます。物件を購入・賃借する前に、住所が制限区域に入るかを必ず確認しましょう。
消防法令適合通知書と安全設備
札幌市で住宅宿泊事業を始める場合は、届出が受理される前に管轄消防署から消防法令適合通知書の交付を受け、提出するよう案内されています。建物の用途や規模によって必要設備が変わるため、計画段階で消防署へ相談することが重要です。詳しい準備は「消防法令適合通知書の取得方法」もご覧ください。
2026年度に収益を伸ばす5つの運営ポイント
1. イベントと季節に合わせて価格を毎日調整する
札幌は雪まつり、夏休み、紅葉、年末年始、スキーシーズンなどで需要が大きく変動します。固定料金のままでは繁忙日の売上を取りこぼし、閑散日は予約が入りません。曜日、予約の入り方、イベント、競合施設を見ながら価格を調整することが重要です。料金調整を任せたい方は「民泊のダイナミックプライシング・価格調整代行」をご確認ください。
2. 連泊を増やす料金設計にする
札幌市の民泊は平均滞在日数が2.93泊まで伸びています。3泊・5泊・7泊の割引、最低宿泊日数、直前割引を組み合わせ、1泊予約だけに依存しない料金設計が有効です。
3. 冬の運営品質をレビューにつなげる
暖房の使い方、凍結防止、除雪、雪で入口が見えない場合の案内、冬道でのアクセス説明は札幌特有の運営項目です。駐車場付き物件では除雪範囲と利用ルールを明確にし、写真でも伝えましょう。詳しくは「札幌の民泊と駐車場の運営ポイント」で解説しています。
4. 写真と掲載ページを定期的に改善する
ゲストが最初に比較するのは写真、価格、立地、レビューです。広角だけに頼らず、ベッド、キッチン、浴室、ワークスペース、周辺環境、冬季設備まで具体的に見せると、予約後の期待値のずれも減らせます。
5. 税務・定期報告・近隣対応を仕組み化する
宿泊税、2か月ごとの定期報告、ゲスト名簿、騒音・ごみ対策などは、予約が増えるほど負担も増えます。担当者の記憶に頼らず、チェックリストと管理表を用意し、清掃・ゲスト対応・緊急対応まで一つの運営フローにまとめることが大切です。
まとめ:2026年度は「需要増」と「運営の複雑化」が同時進行
札幌の民泊市場は、延べ宿泊者数と連泊需要がともに伸び、2026年度も事業機会の大きい市場です。一方で、宿泊税、条例、消防、多言語対応、冬季管理など、運営に必要な専門性は高まっています。
これから札幌で民泊を始める場合は、物件を決める前に営業可能日、消防設備、管理規約、収支を確認しましょう。すでに運営中の場合は、価格調整、連泊設計、写真、レビュー、税務フローを見直すことが収益改善につながります。
VinnStayの運営代行サービスでは、札幌の民泊立ち上げ、OTA掲載、価格調整、多言語ゲスト対応、清掃管理、緊急駆けつけまで一括で支援しています。物件選びや現在の収益改善についても、お気軽にご相談ください。
参考資料
※法令・税務・営業条件は物件や運営形態によって異なります。実際の届出・申請・税務処理は、札幌市、消防署、税務担当者などの専門窓口へご確認ください。
